日本人の高脂血症患者における飽和脂肪酸と血中コレステロールの関係

書誌事項

タイトル別名
  • Effect of dietary saturated fatty acid and plasma cholesterol level in Japanese hyperlipidemic subjects

この論文をさがす

抄録

近年増加が著しい日本人の血清コレステロール(chol)濃度に影響を与える食事性要因を解明するために,入院患者27名(II型高脂血症:10名,家族性高chol 血症:7名,IV型高脂血症:6名,正脂血症:4名)を3群(A,B,C群)に分け,3種類の1日摂取エネルギー量(A群:1450Kca1, B群:1750Kcal,C群:2050Kcal)を設定し,isocaloryで1日300Kcal相当の糖質を同一熱量の飽和脂肪酸に富むバターに置き換えた時,血中脂質がどの様に変化するかを検討し,下記の結果を得た。1)飽和脂肪酸を負荷しP/S比(P:多価不飽和脂肪酸,S:飽和脂肪酸)を1.0以下に低下させた時,A群では不変であったが,B,C群では血漿chol,低比重リポ蛋白(LDL)chol共に上昇した。これらの変化は高脂血症のタイプとは無関係に摂取エネルギーの違いを背景に出現することが示唆された。 2)勉和脂肪酸負荷によってLDL-cholが20%以上増加した群では,飽和脂肪酸投与前の超低比重リポ蛋白(VLDL)がエステル型chol richであった。即ち血中に中間型リポ蛋白(IDL)の停滞が存在した時,飽和脂肪酸のchol上昇作用が出現した。 3)我国における高chol血症の予防と治療を考えるとき,摂取脂肪の質の差よりむしろ総摂取エネルギー量のコントロール(標準体重1kg当り31Kcal/日以下)を考慮する必要がある。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ