心筋細胞膜のカルシウム電流について

書誌事項

タイトル別名
  • On calcium current of cardiac plasma membrane
  • シンキン サイボウマク ノ カルシウム デンリュウ ニ ツイテ

この論文をさがす

抄録

心筋細胞膜のCa電流は多細胞標本にsucrose-gap voltage clamp methodを適用してslow inward current (Is) として初めて報告された. 私はHeidelbergのW Trautwein教授の研究室でモルモット心室筋のIs研究し, Mn電流を発見した (1970). 最近whole-cell Mn電流を記録するとL型Caチャネルを通過するが電流密度は低く, Ca電流の8%であった. Isおよび脱分極と収縮の関係は階段現象があり複雑であった. トリガー作用を再検討すると電位依存性からCa電流によるとして矛盾しない. Isはアセチルコリンおよびgentamicinによって抑制された. 1982年よりpatch clamp法によって単一Caチャネル電流を研究した. 成果は;1) BAY K 8644によるチャネル開口時間延長, 2) DHP Ca拮抗薬nitrendipine (NIT) によるチャネルの利用率Ps減少, 3) βアゴニストisoproterenol (ISO) によるnon-blank run (S状態) 延長およびblank run (F状態) 短縮によるPs増大, 4) ISO存在下のアデノシンによるPs減少, 5) ヒト心房筋のPs増大による5-HT誘発性Ca電流増大. Whole-cell電流からは;1) ISOとNITの独立的修飾作用, 2) Caチャネルα1Eの培養心室筋細胞への発現効果, 3) 肝臓の衛星細胞におけるL型Caチャネルの存在と修飾, 4) epiandrosteroneによるL型Caチャネル阻害の成果があった. 心筋L型Caチャネルの交感神経による修飾機序の単一チャネルレベルでの解明が最も価値ある成果と考える.

収録刊行物

参考文献 (41)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ