小唾液腺分泌機能測定のための試験紙の開発とその臨床応用に関する研究

  • 村田 英之
    金沢医科大学感覚機能病態学(耳鼻咽喉科学)

書誌事項

タイトル別名
  • Development and Clinical Application for Minor Salivary Gland Secretory Function Measurement

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抄録

(目的)本研究は小唾液腺分泌機能測定のための試験紙を開発し,口内乾燥を訴える患者のスクリーニング検査として有用か否かを臨床的に検討することを目的とした。(対象)過去2年6ヶ月間の安静時の口内乾燥感を訴えた患者89例,シェーグレン症候群患者52例,シェーグレン症候群を疑われて小唾液腺生検を行った患者20例および,健常者75例を正常コントロールとした。(方法)下唇の小唾液腺開口部から分泌される唾液を記録するヨードデンプン反応を利用した試験紙を作成し,その精度および感度を検討した。試験紙は下唇に貼付すると開口部に一致して変色したスポットが現れ(結果)試験紙は3%ポピドンヨード液と25%デンプン溶液の組み合わせで作製すると唾液と最もよく反応した。現れたスポット数を数える定性試験では口内乾燥感を訴える患者では2.9(個),シェーグレン症候群患者では2.7(個)で健常者の7.6(個)と比較して有意な低下を認めた。スポット総面積から分泌量の近似値を求める実験では滴下量と面積の間に正の相関が得られ,単位面積あたりの滴下量は0.13μl/mm^2と算出された。この近似値を使用した定量試験では健常者と乾燥感を訴えた患者,シェーグレン症候群と健常者とを比較した結果,口内乾燥症例で平均4.01μl,シェーグレン症候群で3.67μlであり,健常者9.7μlとの間に比較し有意差を認めた。また小唾液腺生検結果(Grade, Focus score)とスポット数,分泌量との間にも相関関係を認めた。(結論)本試験紙は小唾液腺の分泌機能を客観的かつ簡便に測定することができ,スクリーニング検査として外来診療で使用可能と考えられた,また判定基準として,スポット数が5個未満,単位面積で5μl未満を小唾液腺分泌機能低下と判断することが妥当と考えられた。

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