手背の腫瘤を契機に発見された骨結核・脾結核の1例

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タイトル別名
  • Splenic Tuberculosis With Tumor of the Right Hand Due to Skeletal Tuberculosis

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抄録

要約:症例は65歳女性。2003年9月頃疼痛を伴わない右手背の腫瘤を自覚,精査目的にて当院受診となった。経過中発熱や呼吸器症状は認めなかった。理学所見上,右手背のφ3cm大の腫瘤を認めるほか明らかな異常はみられなかった。血沈の亢進とADAの上昇を認め,ツベルクリン反応は強陽性であった。胸部XP・CT上明らかな異常はなく,胃液・髄液・尿・血液培養では結核菌は検出されなかった。腹部超音波・CT検査上脾臓の軽度腫大と多発性脾腫瘤を認め,傍大動脈リンパ節・頸部リンパ節の腫大も伴っていた。脾結核や悪性リンパ腫,原発性牌腫瘍も否定できないため右手背の腫瘍および脾臓の生検を行った。病理検査では多数のラングハンス型巨細胞を伴う肉芽腫性病変であり,Zeihl-Neelsen染色にて抗酸菌を認めた。結核菌培養にて陽性であったことから結核性肉芽腫と診断し抗結核薬治療を開始した。孤発性脾結核の本邦での報告はこれまでに15例と非常に少ない。また,中手骨・関節結核も全結核中1%以下とまれであり,われわれが調べた限りでは脾結核と骨結核の合併した症例の報告はみられない。本例は脾臓と骨以外の他臓器には結核病巣は見い出し得ず,手背の腫瘤を契機に発見された脾結核と骨結核が合併した1例である。示唆に富むまれな症例であると思われ報告する。

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参考文献 (15)*注記

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