代謝基質を含有しない晶質高カリウム心停止液を用いた心筋保護法.長時間大動脈遮断症例の検討

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タイトル別名
  • Cardioplegia with a Substrate-Free Crystalloid Hyperpotassemic Solution. Clinical Result and Pre- and Postoperative Left Ventricular Function in Cases which Underwent Prolonged Aortic Cross Clamping

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抄録

代謝基質や酸素運搬媒体を含まない晶質高カリウム心停止液であるノルモソールK液(K30, Na138, C190, Cal, Mg3, NaHCO_3 20mEq/L,アルブミン2.5g/dl, pH7.4〜7.6,浸透圧340mOsm)を心筋保護液として用いて90分以上の大動脈遮断を行った31例の心臓手術症例について,臨床成績と術前術後の左室機能を検討した。6例が病院死であったが,その原因は出血2例,血栓1例,呼吸不全1例,不整脈2例であった。低心拍出量症候群による死亡はなかった。左室機能は心拍数が術前69/分から術後87/分へ増大し,肺動脈楔入圧が術前15.1から9.4mmHgへ,左室拡張終期容積係数が119から103ml/m^2へそれぞれ減少した他,心係数,一回拍出量係数,一回仕事量係数,駆出分画には変化はなかった。したがって,代謝基質や酸素運搬媒体を含まない晶質高カリウム心停止液を用いて90分以上の大動脈遮断はほぼ安全に行いうるものと思われる。

収録刊行物

  • 北里医学

    北里医学 14 (6), 392-397, 1984-12-31

    北里大学

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