抗精神病薬クロカプラミンおよびその活性代謝物クロスピプラミンの血漿中濃度同時測定の臨床的意義

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タイトル別名
  • Simultaneous Determination of Plasma Levels of Clocapramine and Clospipramine in Its Clinical Significance

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抄録

精神分裂病患者を対象に,抗精神病薬クロカプラミン(以下CCP)およびその活性代謝物クロスピプラミン(以下CSP)の血漿中濃度を逆相高速液体クロマトグラフィーで同時に分離・測定した。本法は従来の方法に比し移動相に揮発性の溶媒を使用しないのでより安全であり,抽出操作においても少量の溶媒ですむなど,熟練を要しない比較的簡便な方法である。また,回収率も良好であり, CCP, CSPともに検出限界は1ng/mlであった。患者10例にCCP 100〜300mg/日を8週間経口投与し,1週ごとに早朝空腹時に採血して測定したところ,CCPは24.24〜216.50ng/ml, CSPは3.18〜79.43ng/ml, CSP/CCP比は0.05〜0.54の範囲であった。治療効果(最終全般改善度およびBrief Psychiatric Rating Scaleで評価),および副作用と薬物濃度との関連を検討し,CCP治療においては,薬物動態モニタリングに際して親化合物のみならず活性代謝物の血漿中濃度も同時に測定することの臨床的意義を認めた。

収録刊行物

  • 北里医学

    北里医学 21 (1), 44-54, 1991-02-28

    北里大学

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