慢性閉塞性肺疾患および肺線維症における運動時呼吸促迫に関与する因子

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タイトル別名
  • Respiratory Distress in Chronic Obstructive Pulmonary Disease and in Pulmonary Fibrosis

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抄録

慢性閉塞性肺疾患(COPD)および肺線維症(PF)にみられる労作時の呼吸促迫を,standardised P_<0.1>(sP_<0.1>)を用いて評価し,その背景因子について検討した。sP_<0.1>はP_<0.1>を分時換気量(V_E)と体表面積(BSA)により標準化した指標であり,下式によって算出した。sP_<0.1>=P_<0.1>/(V_E/BSA)^<0.460>運動負荷によりsP_<0.1>は有意(p<0.01またはp<0.05)な上昇を認め,これは運動による呼吸促迫を表す成績と考えられた。COPDでは,運動時のsP_<0.1>は1秒率およびPaO_2と共に有意(p<0.01)な相関関係を認めたが,パス係数による検討により,運動時のsP_<0.1>とPaO_2との関係は1秒率を介する間接相関であったことから,COLDにおける運動時の呼吸促迫には主として力学的因子が関与していると考えられた。PFでは,運動時のsP_<0.1>は,PaO_2と有意(p<0.05)な相関関係を認めたが,%肺活量との相関は有意ではなかった。PFにおける運動時の呼吸促迫は力学的因子よりもガス交換との関係が深いと考えられた。

収録刊行物

  • 北里医学

    北里医学 22 (1), 59-66, 1992-02-29

    北里大学

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