下半身陰圧負荷試験からみた本態性高血圧症における伸展受容体反射機能障害について

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タイトル別名
  • Dysfunction of Baroreflexes in Essential Hypertension Demonstrated by Lower-Body Negative Pressure

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抄録

本態性高血圧症(EH)の発生および維持に伸展受容体の機能低下が関与することは古くより知られている。この問題について,最近では動脈伸展受容体反射(ABRX)から心肺伸展受容体反射(CPBRX)を分離して調べられるようになった。そこで,ここではEH群に下半身陰圧負荷(LBNP)をかけ,低LBNPでCPBRXを起こさせ,次いで降圧を生ずるまでLBNPを高めてABRXを作り,血圧,心拍数,前腕血管抵抗(FVR),体液性因子等の反応をコントロール(C)群と対比した。CPBRXの機能はEH群とC群で同様であったが,高LBNPをかけたさいにEH群では強い降圧を生じたにもかかわらず,奏効器官への反応はC群と同程度にとどまり,ABRX機能が低下していることを示唆した。伸展受容体反射につづいて生ずる拮抗反射を除くためにatropineで前処置して検査を繰り返したさい,C群に低LBNPをかけた時,心拍数の増加を生じ,低LBNP下で心拍反射の出現を抑制しているメカニズムに迷走神経が関与していることを示した。atropine前処置後,EH群では低LBNPですら降圧を生じてABRXが出現した。CPBRXにおいて,FVRの反応性には加齢による影響を認めないのに対し,ABRXでは加齢と共に心拍数およびFVRの反応性を減じた。この程度はC群と同様であったが,EHはもともとABRX感受性に異常をもつので,加齢効果がこれに加重されうる。

収録刊行物

  • 北里医学

    北里医学 23 (1), 40-50, 1993-02-28

    北里大学

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