超音波ドプラー法を用いた左室拡張早期流入速度 : 流入量関係による新しい左室拡張性の評価

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タイトル別名
  • Relationship between Flow Velocity and Flow : Volume Used in New Doppler Method of Evaluating Left Ventricular Diastolic Function

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抄録

超音波ドプラー法を用い,健常(N)群と冠動脈疾患(CAD)群において左室拡張早期流入速度(E)および流入量(EDFV)を求め,N群とCAD群におけるE-EDFV関係を観察することにより,非侵襲的に左室拡張性を評価しようと試みた。EはN群で有意に速く,EDFVは両者に差がなかった。CAD群ではEDFVと平均肺動脈楔入圧および左室拡張終期圧は正の相関を示し,EDFVは左室前負荷に依存していた。両群のE-EDFV関係をみると,CAD群では両者間に有意な関係(y=14.5+0.7x,r=0.65)が存在し,EDFVの増加に伴いEは高速化を示したが,N群では両者間に相関関係はなく,CAD群の回帰直線の下方でE>60cm/secの位置に平坦に分布した。これらの関係より,拡張早期左室流入動態はN群においては左室の良好な能動的弛緩能に規定されるのに対し,CAD群では前負荷依存性が強いと考えられ,CAD群においてEとEDFVの関係をみることにより,本来の左室拡張期特性を推測する必要があると考えられた。

収録刊行物

  • 北里医学

    北里医学 24 (5), 368-375, 1994-10-31

    北里大学

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