SCID-マウスを用いた移植乾癬皮膚の経時的検討-乾癬型表皮肥厚の再現-

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  • Reconstruction of Psoriatic Epidermal Features by T Cell Hyperproliferation in Transplanted Psoriatic Skins in SCID Mice

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抄録

乾癬の病態を形成するうえで浸潤リンパ球の果たす役割が最近,注目されているが,満足のいく実験モデルは未だ存在しない。そこで,ヒトリンパ球の維持,増殖が可能なsevere combined immunodeficiency (SCID)マウスに10症例の尋常性乾癬病変部皮膚を移植し,経時的検討を加えた。また,サイトカインのmRNAレベルでの発現についてもRT-PCR法にて検索した。移植2週後,表皮索の延長は軽度となり,棍棒状肥厚の形態はそこなわれ,顆粒層が出現,不全角化も不規則となった。4過後には表皮索の延長もほぼ是正され乾癬の組織学的特徴は消失した。真皮のCD3^+ヒトT細胞浸潤(CD4^+細胞優位)も乾癬の組織学的特徴が消失するのと平行して減少し,表皮細胞のHLA-DR^+所見も消失した。また,IFNγのmRNAレベルでの発現も認められなくなる傾向があった。しかし,移植6週前後になり,CD4^+浸潤ヒトT細胞が増殖を示す症例が4症例において認められ,それらの症例では表皮下層よりHLA-DRが陽性を示し,乾癬型の表皮肥厚が再現された。それにともないIFNγのmRNAレベルでの発現も再び認められた。SCIDマウスを用いたこの他家移植モデルにおいて,一旦,正常化した移植皮膚が浸潤ヒトT細胞の増殖により乾癬の組織学的特徴を複数症例にて再現したことは注目すべき点であり,乾癬の病態を説明するうえで有用な所見であるものと考えた。

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