Immune complex vasculitisの血管傷害における補体membrane attack complexの関与

  • 沈 国雄
    聖路加国際病院・皮膚科 北里大学医学部・皮膚科学
  • 川名 誠司
    聖路加国際病院・皮膚科 北里大学医学部・皮膚科学
  • 西山 茂夫
    北里大学医学部・皮膚科学

書誌事項

タイトル別名
  • Effect of Membrane Attack Complex of Complement on Vascular Damage in Immune Complex Vasculitis

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抄録

この研究は2つの要素から構成されている。第1に,immune complex vasculitis患者皮膚罹患血管壁におけるmembrane attack complex of complement (MAC)の形成を螢光抗体直接法で観察し,さらに同患者の血清中のSC5b-9量をenzyme immunosorbent assayで測定した。その結果,Henoch-Schonlein purpura (HSP), urticarial vasculitis (UV)では,皮膚細小血管壁にC5, C6, C7, C8, C9, C5b-9 neoantigenが沈着しているのが見いだされた。大半の沈着は,S-proteinを伴わず,細胞傷害性C5b-9 complex,すなわちMACであった。さらに患者血清中にはSC5b-9量が著しく上昇しており,皮膚局所と同時に循環血液中にも補体のterminal activationが生じていた。Vasculitis allergica cutis (VAC)では一部の患者の皮膚局所にMACが沈着していたが,血清中のSC5b-9は陰性であった。一方,periarteritis nodosa cutanea (PNC)では他の3疾患と異なり,皮膚血管壁,循環血液中のいずれにもterminal activationは生じていなかった。第2に,MACによる血管内皮細胞膜への影響を観察した。すなわち,あらかじめterminal activationを誘導した正常人血清を臍帯静脈内皮細胞培養液中に加えたところ,3時間後に細胞の膨化,変性,剥離が観察された。これをethidium bromide染色するとほとんど全ての細胞は陽性であった。以上の結果は,HSP, UV, VACなどの細小血管を罹患血管とするimmune complex vasculitisにおいて,血管傷害の発現にMACの細胞膜傷害作用が重要な役割を担うことを示唆するものであった。

収録刊行物

  • 北里医学

    北里医学 24 (6), 573-580, 1994-12-31

    北里大学

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