日本海裂頭条虫Diphyllobothrium nihonkaienseから得られた中性糖脂質のspirometo系列糖脂質への帰属と分類学的重要性

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タイトル別名
  • Determination of Spirometo-series Glycosphingolipids from the Parasite, Diphyllobothrium nihonkaiense, and Their Bearing on Taxonomy

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抄録

扁形動物の条虫綱に属する日本海裂頭条虫Diphyllobothrium nihonkaienseより中性糖脂質を単離・精製し,ガスクロマトグラフイー(GLC),ガスクロマトグラフィー/マススペクトロメトリー(GC/MS)およびマトリックス支援レーザーイオン化飛行時間型質量分析(MALDI-TOF/MS)を用いて構造解析を行った結果,以下の糖鎖構造から成る糖脂質を同定した。Gal1-ceramide, Glc1-3Gal1-ceramide, Glc1-3(Gal1-6)Gal1-ceramide, Gal1-4(Fuc1-3)Glc1-3Gal1-ceramide, Gal1-4Glc1-3(Gal1-6)Gal1-ceramide, Gal1-4(Fuc1-3)Glc1-3(Gal1-6)Gal1-ceramide セラミドは長鎖塩基がスフィンガニン(d18:0),脂肪酸は16:0,18:0,26:0,28:0が主要成分であった。日本海裂頭条虫から得られた中性糖脂質は,先に我々がマンソン裂頭条虫Spirometra erinaceiから単離・精製し,その化学構造を決定したspirometo系列の糖脂質であることが明らかとなった。上の6種の糖脂質の中で,還元末端のガラクトースにガラクトースが分岐して結合したトリおよびテトラヘキソシルセラミドは新規糖脂質であった。さらにマンソン裂頭条虫及び本研究で用いた日本海裂頭条虫は,分類学上擬葉目Pseudophyllideaに属することから,これら一連の糖脂質は擬葉目条虫にのみ存在し,生物の分類を決定する因子として分類学的意義を持つことが示唆された。

収録刊行物

  • 北里医学

    北里医学 28 (1), 25-33, 1998-02-28

    北里大学

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