乳幼児突然死症候群における肝脂肪化の診断的意義

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タイトル別名
  • Diagnostic Significance According to Fatty Change of the Liver in Sudden Infant Death Syndrome

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抄録

我々は,現在保育上の責任問題などから社会学的にも問題となっているSIDSにおいて,剖検例をもとにその病態解明の指標となる所見を形態学的に検索を行った。全身の様々な病態を鋭敏に反映する肝臓の脂肪化所見に注目して小児剖検例82例を死因別に3群に分類し,その脂肪化の程度及び分布パターンを画像解析を用い,客観的に比較検討した。その結果,SIDS群においては,外因死群と同様ほとんど脂肪化の認められない症例群と高度の脂肪化が認められる群の2群に大きく大別することができた。このことから,高度に脂肪化が認められた群では,内因死群の中のライ症候群や,脂肪酸酸化酵素異常症などの先天性代謝疾患との鑑別の必要性が示唆され,また脂肪化の低い群においては,寝具などによる鼻口部閉塞などの外因死群との鑑別や,何等かの中毒,または未知のtoxinの関与の可能性が示され,今後の検索方向に具体的な方向性を与えることができた。

収録刊行物

  • 北里医学

    北里医学 28 (6), 484-493, 1998-12-31

    北里大学

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