大腸がんの早期診断と内視鏡治療

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  • Early Diagnosis and Endoscopic Treatment of Colorectal Cancer

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抄録

近年,本邦における大腸癌の罹患率は年々増加している。また内視鏡機器の進歩と病変に対する認識の高まりに伴い,早期大腸癌の発見数が増加し,特にこれまで発見されることの少なかった平坦,陥凹型早期大腸癌が数多く発見されるようになってきた。治療法としては内視鏡的切除と外科的切除の選択肢があるが,われわれの提唱する発育進展を考慮した肉眼形態分類とpit patternは,個々の病変に対して過不足のない治療法を選択するうえで大変有用である。IIc, IIc+IIaといった陥凹型腫瘍のほかに,一見単なるIIaやIsに見えるがよく見ると陥凹局面を有する病変をIIa+IIc, Is+IIcとして通常の表面隆起型や隆起型(IIa, Is)とは悪性度の異なる群として分けて検討する。そしてさらに病変の表面の腺口構造(pit pattern)によって分類を行う。I型pit patternは正常粘膜, II型pit patternは過形成性病変であることを示す。III_L型は腺腫の基本的なpit patternで早急な治療を必要としない。IV型はvillous adenomaなどの大きな隆起性病変のpit pattern, V型のうちV_I型はm癌およびsm微小浸潤痛のpit patternであり,内視鏡治療の適応である。V_N型pit patternはsm深部浸潤癌の指標であるので, V_N型pit patternを示す病変は内視鏡治療の適応外となり腹腔鏡補助下大腸切除術を行うこととなる。

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