モルモット大腸粘膜下神経叢による上皮クロライドイオン分泌の制御 : コリナージックニューロンとVIPナージックニューロンの役割

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タイトル別名
  • Regulation of Chloride Secretion Across Guinea Pig Colonic Epithelia by Submucosal Neural Plexus : The Role of Cholinergic and VIP-ergic Neurons

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抄録

哺乳類大腸粘膜のCl^-分泌は,コリナージックニューロンとvasoactive intestinal polypeptide(VIP)ナージックニューロンにより制御されている。しかし,Cl^-分泌における両者の貢献度は不明である。われわれは,Ussingチャンバーに固定されたモルモット大腸粘膜(遠位部)において,安静時短絡電流(Isc)を計測し,さらに,VIP-とベタネコール(Bch:ムスカリニック受容体アゴニスト)-誘発電流を,テトロドトキシン(TTX:電位依存性Na^+チャネル阻害薬)存在,非存在下で測定しその影響を調べた。TTX非存在下では,BchとVIPは,ともにCl^-分泌の方向に短絡電流を増加させた。Bch誘発電流は,VIP誘発電流より大きく,両者はアトロピン(ムスカリニック受容体阻害薬)で完全に抑制された。TTX存在下では,BchとVIPは共に短絡電流を増加させなかったが,100 nM VIPC血管側)の前投与でBch誘発電流は,コントロールレベルに回復した。このVIPの回復作用は,1 mM 8-bromo-cAMPの前投与で再現された。しかし,100 nM VIP(粘膜側),1 mM 8-bromo-CAMP(粘膜側)の前投与では,Bch誘発電流は阻害されたままであった。これらの結果は,モルモット大腸粘膜(遠位部)のCl^-分泌は,主にコリナージックニューロンにより支配されていることを示した。VIP(血管側)は,細胞内cAMPを増加させることにより,粘膜下神経叢のコリナージックニューロン活性の保持,特にTTX存在下における機能回復に重要な働きをすることを示唆した。

収録刊行物

  • 北里医学

    北里医学 31 (5), 288-296, 2001-10-31

    北里大学

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