シスプラチンによるヒト口腔扁平上皮癌細胞株のCaspase-2活性化

書誌事項

タイトル別名
  • Caspase-2 activation induced by cisplatin on a human oral squamous cell carcinoma cell line
  • シスプラチン ニ ヨル ヒト コウクウ ヘンペイ ジョウヒガン サイボウシュ ノ Caspase 2 カッセイカ

この論文をさがす

抄録

シスプラチン(CDDP)は,DNA合成阻害およびアポトーシス誘導により優れた抗腫瘍作用を示すが,そのメカニズムは完全には解明されておらず,複雑多岐にわたっているものと考えられている.今回われわれはCDDPによるアポトーシス誘導に注目し,その過程におけるシトクロムcの放出とCaspase-2およびBaxタンパクとの関連性について検索した.実験にはヒト口腔扁平上皮癌細胞株HSC-4細胞を用い,CDDPによる細胞障害性をMTT assayで,そしてアポトーシスをTUNEL染色およびヒストン結合性DNA fragmentのELISA法にて確認した.Caspase-2, -3, -8および-9の変動はfluorometric assayにて解析し,またシトクロムcをcytochrome c immunoassayを用いて検出した.さらにBaxの発現をwestern blot法にて検索した.<br>   その結果,CDDPは濃度依存的にHSC-4細胞障害性を示しアポトーシスを誘導した.また時間経過に伴いシトクロムcの細胞質への放出およびCaspase-2,-3および-9の活性化が観察され,各種Caspase阻害薬によりアポトーシスが一部抑制された.さらにCaspase-2阻害薬によりシトクロムcの細胞質への放出が減少し,Baxのミトコンドリアへの移行が遅延した.<br>   これらのことから,CDDPによるアポトーシス誘導過程において,Caspase-2はミトコンドリア経路の上流で活性化し,シトクロムcの放出およびBaxのミトコンドリア膜への移行に関与することが示唆された.

収録刊行物

  • 歯科医学

    歯科医学 69 (1), 23-31, 2006

    大阪歯科学会

参考文献 (51)*注記

もっと見る

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ