サイトカインの変更により異なる反応を呈した進行性腎癌の1例

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タイトル別名
  • A CASE REPORT OF ADVANCED RENAL CANCER THAT SHOWED DIFFERENT RESPONSES TO THE ALTERATION OF THERAPEUTIC CYTOKINES
  • 症例報告 サイトカインの変更により異なる反応を呈した進行性腎癌の1例
  • ショウレイ ホウコク サイトカイン ノ ヘンコウ ニ ヨリ コトナル ハンノウ オ テイシタ シンコウセイジンガン ノ 1レイ

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抄録

患者は73歳, 男性. 2004年3月, 肉眼的血尿を主訴として初診. 画像診断にて右腎癌, 腹部・縦隔リンパ節転移を認め当科入院. 原発巣に対し選択的腎動脈塞栓術を施行し, 免疫療法として天然型IFN-α (スミフェロン®600万単位) による治療を開始した. しかし4ヵ月後, リンパ節の増大を認めたため, IL-2 (イムネース®140万単位) 投与に変更した. 投与5週間目のCTでリンパ節の増大と多発肺転移が出現したため, 別の天然型IFN-α (OIF®500万単位: 週3回筋注) による治療を開始した. 投与から3ヵ月後, 全ての肺転移は消失し, 9ヵ月を経過した現在, リンパ節転移巣は不変の状態を維持している.IFN-αやIL-2が無効であった症例に対し, サイトカインの変更 (IFN-αの製剤変更, IL-2からIFN-αへの変更) が有効であった報告は極めて稀である.<br>2種類の天然型IFN-αが異なる抗腫瘍効果を呈した理由は, 製剤間でのIFN-αのサブタイプ組成の相違が関与している可能性が考えられる. 免疫療法が無効の進行性腎癌に対し有効な治療がない現状では, IFN-αやIL-2が無効であっても, 別のIFN-αで免疫療法を継続してみる価値はあると思われる.

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参考文献 (11)*注記

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