国際刑法の国内法化について

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抄録

国際刑事裁判所の設置の後も、国際法に反する最も重い犯罪行為の訴追は従来通り第一義的には各国の任務である。国際刑事裁判所ローマ規程は、国際刑法の実施については各国の協力に委ねることを明文で規定した。その規定にある補充性の原則によれて、国際刑事裁判所が犯罪の訴追管轄を有するのは、本来訴追の任に当たるべき国が、自ら訴追を行う意思も能力も有しない場合に限られる。つまり、国際刑事裁判所は、「補欠裁判所(Reservegerichtshof)」として構想されているのである。この、非中央集権的に組織化された世界刑事司法のコンセプトは、国際刑事裁判所は国際法上の犯罪を断片的に訴追することができるに過ぎない、という二つの国際刑事裁判所の経験によって裏付けられた現実主義的な判断をその基礎においている。この分業的処罰モデルにおける諸国家の協力に、ローマ規程は、一方で、本来その任に当たるべき国自身が適切な措置を講じない場合には国際刑事裁判所が訴追を引き受ける可能性を規定することによってバックアップを設定し、他方で、国際法上の犯罪に関する各国の刑事裁判権を行使すべき(国際慣習法上の)義務を強化している。しかし、ローマ規程にも国際慣習法にも、いかなる形態において各国がその訴追義務を履行すべきかに関する拘束的なテンプレートは見いだせない。特にローマ規程は、特定の、例えばローマ規程5条の犯罪構成要件を国内法秩序に移植すべき義務を根拠付けてはいない。とはいえ、各国がその実体刑法規範をローマ規程の諸ルールに合わせて修正することはローマ規定の精神と計画とに合致する。このような形においてのみ、各国が国際刑事裁判所自身と同じような態様で国際法上の犯罪を訴追することができる状態が実際に確保されうるのである。このような意味において、ローマ規程は、国際法上の犯罪の適切な処罰に必要な刑罰法規を国内法に設けることを各国に委任していると言える。既に多くの国々が、ローマ規程の発効を国内刑法を国際実体刑法の諸規定にあわせて修正するきっかけとした。本稿では、国際刑法の国内法への変換の可能性を略述し(I)、そうした変換の例としてドイツの国際刑法典の概要を紹介した上で(II)、最後にドイツ国際刑法典を特徴づける特殊な法的特性を示すこととしたい。

収録刊行物

  • ノモス

    ノモス 15, 57-65, 2004-12-25

    関西大学

各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    110004721577
  • NII書誌ID(NCID)
    AN10219475
  • 本文言語コード
    JPN
  • 資料種別
    翻訳
  • 雑誌種別
    大学紀要
  • ISSN
    09172599
  • NDL 記事登録ID
    7734613
  • NDL 雑誌分類
    ZA11(政治・法律・行政--法律・法律学)
  • NDL 請求記号
    Z2-1948
  • データ提供元
    NDL  NII-ELS 
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