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Abstract
建国を一つの継続的なプロセスとしてとらえるなら, アメリカ合衆国はまさにその典型であろう。アメリカ人を特徴づけているもの, それは, さまざまな民族・人種に属する人々が自ら選んでこの国に移住し, 一種の社会契約による国家共同体を政治的に築いている, という驚くべき事実である。「自由」を求める人々が存在するかぎり, アメリカは人類にとって希望の地であり, 未来に開かれた人類共存の実験場である。独立宣言に示されたアメリカ政治の理想-個人の尊厳・人間の平等・人民主権-は, アメリカ国民が常にそれへの回帰を求められている生活の原点である。本稿は, アメリカの国民形成に顕著な三つの要素として, 移民・政治の理想・ジャーナリズムをとりあげ, その相互作用の中から「建国」をダイナミックに継続させている推進力を探り出そうと試みた。アメリカ・ジャーナリズムの機能を中心に(1)初期定住者とプレスの自由, (2)移民と大衆紙, (3)アメリカ化と移民新聞, (4)アメリカ政治の理想と革新的ジャーナリズム, の四項目について記述している。独立戦争, ジャクソニアン・デモクラシー, 進歩主義運動, ウォーターゲイト事件と, いずれの時代にも政治・企業・社会の不正を容赦なく暴露するアメリカ・ジャーナリズムは, 建国の理想とかけ離れた現実を摘発し, アメリカ国民をその伝統的信条に立ち返らせる。「るつぼ」の中で画一化されることを嫌う移民たちは, それぞれの民族性を保ちながら, しかも全体として一つの社会, 一つの国民を政治的に構成することを承諾している。こうしてアメリカ人は, 「いかにしてアメリカ人になるか」という古くて新しい課題に今日も取り組んでいる。
Journal
- The journal of American and Canadian studies [List of Volumes]
-
The journal of American and Canadian studies 4, 71-113, 1990-03-30 [Table of Contents]
Sophia University