リビア Fezzan 地方産 Bulinus truncatus の解剖と生息状況

  • 板垣 博
    麻布獣医科大学寄生虫学教室
  • 安羅岡 一男
    国立予防衛生研究所寄生虫部:(現)筑波大学医学部医生物学教室

書誌事項

タイトル別名
  • Anatomy of Bulinus (Bulinus) truncatus from the Fezzan Area in Libya and its Ecological Note
  • リビアFezzan地方産Bulinus truncatusの解剖と生息状況〔英文〕
  • リビア Fezzan チホウサン Bulinus truncatus ノ カイ

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抄録

1966年2月, リビアのFezzan地方のオアシスより採集したB. truncatusを解剖学的に検討し, また同地におけるその棲息状況についてのべた。解剖学的特徴としては次の点が認められた。歯舌の側歯の中央小歯(mesocone)は矢頭状(arrow-headed)であった。右中腸腺およびその導管は認められない。交接器を持たない個体(aphallic specimen)がかなりの率で認められ, これらの個体では摂護腺は退化して樹枝状に配列した小葉となり, 輸精管も退化して貯精嚢の付着部付近で盲管に終る。神経系は, 殻の巻き方の違いを除けば, 他の基眼目のものと大体において同じであり, 交接器は左脳神経の支配をうける。ただし, 交接器を欠除する個体ではこの神経も退化消失している。循環系についても同様のことがいえる。Fezzan地方は砂漠で雨は極度に少く, すべての水はポンプで汲み上げられた地下水にたよっている。農耕用水はこの汲み上げた水を直径約6m, 高さ約3mの円筒形のコンクリート製水槽に貯え, これに連なる溝を通じて小さな畑に供給される。貝はこれらの水槽および溝にだけ棲息しており, Bulinus以外の貝は認められなかった。

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