オオベソオウムガイにおける精莢授受に関する一考察

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タイトル別名
  • A Consideration on Transfer of Spermatophores in Nautilus macromphalus
  • オオベソオウムガイにおける精莢授受に関する一考察〔英文〕
  • オオベソオウムガイ ニ オケル セイキョウ ジュジュ ニ カンスル イチコウサ

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抄録

ニューカレドニア産のオオベソオウムガイ長期飼育中に, しばしば交接が観察され, 交接後雌の精子嚢受容器と見なされるヴァレンシェンヌ器官に精子塊が収容されている様も観察されている。しかし, 一方飼育水槽の水底に, 精莢の授受が不成功に終ったか或いは他の原因で遺棄された精莢が見つかるので, それらと雄の精莢嚢から取り出した精莢との巨視的比較を行い, この動物の精莢授受の過程について考察した。オオベソオウムガイの精莢は他の頭足類(二鰓類)のそれと異り楕円体で, 非常に長い精子塊がコイルされており, 発射装置やセメント体を欠くように見える。これは雄の特化した交接用の腕によって雌のヴァレンシェンヌ器官に接着させられるものと思われるが, 二鰓類が交接腕を用い, 精莢を移送し, 雌の精子を受け取る場所(唇部, 囲口膜, 輪卵管開口部等)に精子塊を発射させ植え込むのとは機構上かなり異るものと推測される。水底に遺棄される精莢については飼育水温が, 生殖活動に不適であるために起るのか, 過剰な精莢の放棄なのか現在の所その原因は判っていない。

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