中国沿岸産サザエ類の 1 新種

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  • A New Turbo (Batillus) Species from Chinese Coasts
  • New Turbo Batillus Species from Chinese

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抄録

サザエTurbo(Batillus)cornutus Lightfoot, 1786は古来から食用に供され, 日本人にとって最も馴染みのある巻貝の一種である。波部・小菅(1967)やAbbott and Dance (1982)などによれば, 本種は北海道南部以南から九州にいたる日本列島の沿岸, 中国大陸, 朝鮮半島の潮間帯下の岩礁に生息するとされている。筆者らは本種の分布域の標本群を検討した結果, これまでサザエとして扱われてきた中国大陸沿岸産の個体群は, 日本や韓国産のサザエと明瞭に区別され別新種と認められたのでここに記載報告する。新種ナンカイサザエTurbo (Batillus) chinensisの多くの形態的特徴はサザエと類似しているが次の点から明瞭に区別される。(1) 石灰質の蓋外面はより膨らみ, 螺肋が不明瞭でかつより微細な顆粒で被われる。(2) 棘状突起がより小さく管状にならず, その数が多い。また, 体層の肩に生じる棘状突起列の位置がやや高い。(3) 体層の螺肋に二次肋および三次肋が発達する。(4) 螺塔がより低く, 殻高は大きな個体でも7cm程度にとどまる。本新種は中国逝江省舟山群島から南は広東省香港付近までの岩礁海岸に分布し, 水深0∿3mに多い。なお本種の模式産地は広東省汕尾(Shanwei)である。

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