胆道閉鎖症長期経過例における続発性肺血流異常症例の検討

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タイトル別名
  • Study of Secondary Pulmonary Perfusion Abnormality in Long-Term Survivors of Biliary Atresia
  • タンドウ ヘイサショウ チョウキ ケイカレイ ニ オケル ゾクハツセイ ハイ ケツリュウ イジョウ ショウレイ ノ ケントウ

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抄録

【目的】胆道閉鎖症(以下本症)の術後合併症としての続発性肺血流異常には肝肺症候群(hepatopulmonary syndrome, HPS)と門脈肺高血圧症(portopulmonary hypertension, PPH)がある.今回は東北大学小児外科で根治術を施行し,肝移植なしで術後10年以上生存した101例のうち続発性肺血流異常を認めたHPS4例とPPH2例の計6例について後方視的に検討した.【方法】6例全例で初回手術後減黄が得られたが,4例で黄疸の再発を認めた.この中で続発性肺血流異常の発症以前に黄疸再発をきたしていたのは3例であった.全例で食道静脈瘤を認めた.この中で続発性肺血流異常の発症以前に食道静脈瘤を認めていたのは5例であった.4例で内視鏡的食道静脈瘤硬化療法を要した.また3例で高度の脾機能亢進症を合併し,部分的脾動脈塞栓術が施行された.肺血行動態の異常の程度と肝機能異常の程度との間には明らかな関連はみられなかった.臨床症状との関連では,HPSでは肺内シャントの程度の間に相関があった.PPHでは症状と肺高血圧の程度に必ずしも関連を認めなかった.【結果】HPS症例に対する治療としては,2例に対し生体肝移植が施行された.2例ともに肝移植は成功し,低酸素血症も改善したが,うち1例は移植から1年後に他病死した.PPH症例に対しては,1例に生体肝移植が施行されたが,術後右心不全が進行して死亡した.他の1例では経口PGI_2誘導体の投与が開始された.若干の肺高血圧の改善が認められ,現在外来経過観察中である.【結論】続発性肺血流異常は,肝移植の危険因子の一つであり,その予後に与える影響の大きさから,肺血行異常の合併を念頭に置いた監視体制の確立が重要である.

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参考文献 (27)*注記

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