アメリカ法における子どもに対する医療と同意 : 生命に関わるが、治療効果が不確実な病気の治療に対する親の同意拒否

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タイトル別名
  • Medical neglect cases in the United States : Analysis of three state supreme court cases concerning HIV- positive children and children with pediatric cancer

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抄録

本稿では、アメリカにおけるメディカル・ネグレクトに関するいくつかの判例の分析を行う。まず、即座に生命を脅かすわけではないが、生命に関わり、かつ治療効果が確実とは言い難い小児がやHIV抗体陽性の子どもへの治療を親が拒否した場合の、アメリカの州最高裁レベルの判例(Custody of a Minor, Newmark v. Williams, In re Nikolas E.)を紹介する。次に、これらの判例から、子どもの医療決定に関する親、州、子どもの利益が何であるかにつき分析する。最後に、本稿で紹介した判例においては、これらの利益分析が子どもの最善の利益により支配されていること、及び子どもの最善の利益を決定するために、(1)治療の有効性、(2)治療の性質(副作用、治療の危険性、侵襲度)、(3)子どもへの影響(親子を引き離すことが子どもに与える情緒的影響)が考慮されていることを明らかにする。

収録刊行物

  • 生命倫理

    生命倫理 13 (1), 158-166, 2003

    日本生命倫理学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (56)*注記

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