書誌事項
- タイトル別名
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- STUDY ON MULTIETHNIC INTERACTION OF ETHNIC MINORITIES IN RANDOM MIXED-USE BUILDINGS, WANCHAI, HONG KONG
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抄録
多様な特性の人々が集住し、そこから多様な行為や社交が生じることにより、サステイナブルな都市形成がもたらされると一般に考えられている。本論は、このような従来の都市形成の概念が、異なる民族が混在して暮らす高層混合用途ビルにおいても有効であるかを明らかにするため、多様な民族が高密度に集住する都市として世界でも先進的な香港湾仔を対象に調査研究を行ったものである。高層混合用途ビルの平面形状やエスニック・マイノリティの見知っている隣人の人数を比較した結果、建物コアや出入り口の数や、それらの位置や、共用部分の形式が居住者同士の相互交流に影響を及ぼしていることが分かった。長くて開放的な廊下や離れたコアより、長い廊下のない中央コアの方はエスニック・マイノリティの相互交流が盛んであることが明らかになった。各部屋の居住者や用途の構成の調査から、用途の異なる部屋が同一階や上下階方向にも混合して存在していることや、独特の部屋の所有システムは、長期所有者と、短期所有者との日常的な接触を妨げていることが考察された。2人のエスニック・マイノリティの、同一高層混合用途ビルの他の隣人との相互交流の状況を対話形式で調査した結果、彼らは高層混合用途ビルの中では慣習的に隣人とあまり深い交流を行っていないことが明らかになった。高層混合用途ビルは、当初は居住を目的として建てられたが、部屋の所有者による部屋の改変により、用途の変更がなされていった。用途の変更により、多様な異なる目的を持つ人々が高層混合用途ビルに居住するようになり、隣人との相互交流をしなくなり、古くからの居住者が新たに居住してくる彼らを認識したり、彼らに接近したりすることが困難になって行ったと考えられる。以上より、本論の調査対象である湾仔の異なる民族が混在して暮らす高層混合用途ビルにおいては、多様な特性の人々や彼らの行為を単一の建物に平面的にも垂直方向にも混合して集中していることが、必ずしも居住者同士の好ましい相互交流に結びついていないことが明らかとなった。
収録刊行物
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- 日本建築学会計画系論文集
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日本建築学会計画系論文集 70 (593), 33-40, 2005
日本建築学会
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キーワード
詳細情報
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- CRID
- 1390001204785001728
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- NII論文ID
- 110004849685
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- NII書誌ID
- AN10438548
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- ISSN
- 18818161
- 13404210
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- NDL書誌ID
- 7382221
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- 本文言語コード
- en
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- データソース種別
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- JaLC
- NDL
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可