下肢の骨関節疾患患者の筋力回復と筋線維伝導速度との関係
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抄録
【目的】今回、我々は下肢の骨関節手術後の患者を対象に、筋力増加に伴うMFCV(muscle fiber conduction velocity)の変化について観察し、筋の廃用状態の評価としてのMFCVの有用性の可否について検討したので報告する。<BR>【方法】対象は、下肢の骨関節手術後に運動療法を中心としたリハビリテーションを行った12人(男性2人、女性10人)で平均年齢69.6±10.1歳である。手術の内訳は、人工股関節置換術7例、観血的骨接合術3例、大腿骨外反骨切り術、人工骨頭置換術各1例である。<BR> MFCVの測定筋は内側広筋とした。被検者は、股関節および膝関節屈曲90°での椅座位姿勢であった。電極は、1mm×10mmの銅電極を5mm間隔で8個配列した微小表面電極列を用いた。微少表面電極列は、膝蓋骨上縁から3~5cm中枢側の内側広筋筋腹から筋線維走行に沿って配貼した。電気刺激は、持続時間0.5msの矩形波を用い、刺激頻度1Hzで、内側広筋末梢部を刺激した。筋電図は、それぞれ隣り合う電極から7つの筋電図を双極性に導出した。電気刺激の強度は、電気刺激部位に最も近位の電極から導出した波形を第1波形、最も遠位の電極から導出した波形を第7波形とすると、第1波形から第7波形にかけ、一定の潜時差をもった陰性ピークを持つ波形が得られる強度を採用した。MFCVは、電極間距離(30mm)を、第1波形と第7波形の陰性ピークの遅延時間 (msec)で除して算出した。膝関節伸展筋力は、デジタル力量計(竹井機器工業製)を用い、被検者は股関節および膝関節屈曲90°での椅座位姿勢で、膝関節最大等尺性伸展を行うことにより測定した。また、測定は、手術後2回から4回行った。1回目の測定は、手術後理学療法が開始され、筋力測定が許可された時に行い、最後の測定は退院時に行った。運動療法期間は平均53.3±18.1日であった。<BR>【結果】術後の筋力は、1度目の測定時では13.6±7.4kgであったものが、最後の測定時には21.7±8.4kgと有意(p<0.01)に回復し、すべての症例が筋力回復を示した。MFCVは、1度目の測定時では2.75±0.23m/sであったものが、2回目の測定時には3.06±0.24m/sと有意(p<0.01)に速くなり、すべての症例のMFCVが速くなった。さらに、3回以上の測定を行った7例の筋力とMFCVの経時的な変化をみると、多くの例で筋力回復に伴いMFCVも速くなり、筋力とMFCVはほぼ直線的に変化した。<BR>【考察】手術後の安静により、廃用性筋力低下を示した症例の筋力回復に伴うMFCVの変化を観察した結果、筋力回復にともないMFCVは速くなることがわかった。この結果から、MFCVは、廃用性筋力低下の評価として有用であると考えられる。<BR><BR>
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 2005 (0), A0585-A0585, 2006
公益社団法人 日本理学療法士協会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205563940480
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- NII論文ID
- 110004994946
- 130004578663
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- NII書誌ID
- AN10146032
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可