30年間における腎移植260例の経験
-
- 石川勲
- 金沢医科大学腎機能治療学(腎臓内科学)
-
- 近澤 芳寛
- 金沢医科大学腎機能治療学(腎臓内科学)
-
- 佐藤 一賢
- 金沢医科大学腎機能治療学(腎臓内科学)
-
- 奥山 宏
- 金沢医科大学腎機能治療学(腎臓内科学)
-
- 今村 秀嗣
- 金沢医科大学腎機能治療学(腎臓内科学)
-
- 羽山 智之
- 金沢医科大学腎機能治療学(腎臓内科学)
-
- 山谷 秀喜
- 金沢医科大学腎機能治療学(腎臓内科学)
-
- 浅香 充宏
- 金沢医科大学腎機能治療学(腎臓内科学)
-
- 友杉 直久
- 金沢医科大学腎機能治療学(腎臓内科学)
-
- 由利 健久
- 金沢医科大学腎機能治療学(腎臓内科学)
-
- 鈴木 孝治
- 金沢医科大学泌尿生殖器治療学(泌尿器科学)
-
- 田中 達朗
- 金沢医科大学泌尿生殖器治療学(泌尿器科学)
書誌事項
- タイトル別名
-
- Experiences with 260 Renal Transplantations over 30 Years at Kanazawa Medical University
この論文をさがす
抄録
金沢医科大学腎移植チームでは,1975年3月より2005年6月30日までの約30年間に,260例の腎移植を行ってきたが,この間における移植成績の向上には隔世の感がある。これには長年にわたる経験の積み重ねに加え,免疫抑制療法や急性拒絶反応に対する治療法の飛躍的な進歩が深く関わっていると思われる。そこで我々が行ってきた腎移植の成績はどのように変化してきたか,また移植腎が生着し,現在も外来に通院中の患者について現状はどうかまとめてみた。腎移植260例の内訳は,生体腎移植212例,死体腎移植48例で,生体腎移植は透析導入直後の例で多く,死体腎移植は長期透析例で多かった。また提供者をみると生体腎移植では親が多く,死体腎移植では若い人から高齢者まで様々であった。30年にわたる移植時期を10年ごとに区切って,その間の移植成績をみると,すなわち,免疫抑制薬としてステロイドとアザチオプリンを使用した最初の10年,それに続き,ステロイド,アザチオプリン,シクロスポリンを使用した次の10年,さらに,ステロイド,ミコフェノール酸モフェチル,シクロスポリンまたはタクロリムスを使用したここ10年に分けて,5年腎生着率を比べてみると,それぞれ68.3%(n=89),73.0%(n=86),93.7%(n=37)と大きく向上してきている。1975年に行われた最初の4例は現在も生着し,腎機能も良好である。またこの間12例の患者が18児を出産した。外来通院中の134例について高血圧の頻度は86.6%で,うちコントロール良好例は86.2%,糖尿病の頻度は18.7%で,うちコントロール良好例は80.0%であった。以上より金沢医科大学における腎移植の成績は良く,生活習慣病関連事項もコントロール良好と言える。近年では,移植数の減少が最大の問題点となってきている。死体腎移植に対するさらなる理解と啓発・提供者の増加,生体腎移植における適応の拡大(ABO不適合移植,夫婦間移植)がなによりも求められるところである。
収録刊行物
-
- 金沢医大誌
-
金沢医大誌 30 522-530, 2005
金沢医科大学
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1572543027171250816
-
- NII論文ID
- 110006198482
-
- NII書誌ID
- AN00043827
-
- ISSN
- 03855759
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- CiNii Articles