タキサス天然成分タキサン化合物による腫瘍細胞増殖抑制とApoptosis誘導

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タイトル別名
  • Tumor Cell Growth Inhibition and Apoptosis Induction by Taxane Compounds Isolated from Taxus yunnanensis

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抄録

イチイ科植物の一種で中国原産のタキサスTaxus yunnanensisの材部(紅豆杉)の熱水抽出物について腫瘍細胞増殖阻害効果を検索した。9種類のヒト腫瘍細胞株のうち子宮頸癌HeLa細胞,結腸癌HCT110細胞,卵巣癌PA-1細胞,脳腫瘍T98G細胞4株に高い阻害活性(IC_<50>値1〜6μg/mL)を示し,結腸癌SW620細胞,卵巣癌SKUT-2細胞,肺腺癌A549細胞の3株には中程度(9.5〜13.9μg/mL)であった。正常細胞はいずれも低感受性(28.2〜29.3μg/mL)であり,腫瘍細胞の中にも不感受性株(24.9〜28.9μg/mL)が結腸癌DLD-1細胞,肝細胞癌HEpG-2細胞の2株存在した。T.yunnanensisの樹皮部の抽出物成分から単離したTaxolを含めたtaxane誘導体が阻害活性を示し,IC_<50>値は,HeLa細胞に対しては0.36〜5.6ng/mL,A549細胞に対しては4.7〜26ng/mLと極めて強いものであった。分裂増殖中の腫瘍細胞は,熱水抽出物および主成分Taxolによって微小管が不規則な形に固定され染色体は赤道面で動かなくなり,2細胞に分裂する終期に至らずアポトーシス小体を形成した。以上の結果T.yunnanensisの材部にはTaxolが含まれヒト悪性腫瘍細胞は分裂中期で停止してアポトーシスを起こすことが明らかになった。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1573387452101396224
  • NII論文ID
    110006198483
  • NII書誌ID
    AN00043827
  • ISSN
    03855759
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • CiNii Articles

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