2-2 重症肺気腫患者に対するシリコン製気管支閉塞用バルブ(Endobronchial Miyazawa Valve;EMV)を用いた気管支鏡下肺容量減少療法(Bronchoscopic Lung Volume Reduction)(<特集>第29回日本呼吸器内視鏡学会総会)

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タイトル別名
  • Bronchoscopic Lung Volume Reduction with Endobronchial Silicone Valve (EMV) in Patients with Severe Emphysema

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抄録

背景.重症肺気腫患者に対してEndobronchial Watanabe Spigot(以下EWS)を用いた気管支閉塞法による気管支援下肢容量減少療法(Bronchoscopic Lung volume Reduction 以下BLVR)を試みてきたが,隣接葉からの側副換気の存在がその治療効果を妨げていると考えられた.そこで,より効果的な方法として一方向性のシリコン製バルブEndobronchiaI Miyazawa valve(以下EMV)を開発してその有効性を検討した.方法.重症肺気腫5例(%FEV_<1.0><30%が4例,同<50%が1例),巨大肺嚢胞2例を対象とした.CTで確認された気腫領域の葉気管支(左は区域気管支)へ,今回試作したEMVを留置した.静脈麻酔下に気管内挿管を行い,気管支ファイバースコープと鉗子を用いて留置した.治療効果の判定は留置後1ヵ月,3ヵ月,6ヵ月目に,呼吸機能(FVC,FEV_<1.0>,RV/TLC,D_<LCO>/VA)と6分間歩行テストおよびADLにて判定した.結果.この治療中に重篤な呼阪上の合併症は認めなかった.呼吸機能を症例毎の最大変化率で判定すると,FVCは7.6±6.7%の増加(p=0.016),FEV_<1.0>は10.1±11.7%の増加(p=0.023),RV/TLCは18.0±18.9%の減少(p=0.039),D_<LCO>/VAは22.1±24.6%の増加(p=0.008)が得られた.6分間歩行は48.1±23.7% (p=0.008)の改善率が得られた.ADLは1例には自覚症状の改善を認めなかったが,残る6例は軽度から中等度の改善が自覚された.胸部X線写真でEMV留置領域の肺容量の減少が確認された症例は3例であり,無気肺に至った症例はなかった.考察.今回開発したEMVはバルブ口径を大きく取ったシンプルな形状であり分泌物の貯留やバルブ損傷の心配はない.呼吸機能の改善は症例による時間差があるが有意に改善した.運動能力の改善は著明でありADLの改善も満足できる結果であった.このEMVを用いたBLVRは,重症肺気腫と巨大肺嚢胞患者にADLと呼吸機能の改善が期待できる低侵襲の新しい安全な治療法と考えた.(気管支学.2006;28:607-614)

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 28 (8), 607-614, 2006

    特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会

参考文献 (15)*注記

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