ユーロ導入と日本企業 : ドイツ等日系企業実態調査を中心に

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  • A Study of Japanese Enterprises in Germany after Changeover to the euro

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抄録

ユーロ通貨はEU加盟国の共通通貨である。それではユーロ圏の企業がいかにユーロシステムを導入したのであろうか?それを実践的側面から検証し、成果を評価し、その後の進展を現実的に把握することは有意であると思考する。そして本調査結果から得られた知見は、今後予想される共同体通貨圏での多国籍企業戦略に大いに役立つことであろう。そこでユーロ圏最大の経済国ドイツに進出している日系企業に焦点を絞り、3度にわたるアンケート調査とヒアリングを行い、日系企業のユーロシステム導入の成果を分析し、日系企業の進化の実態を把握するとともに今後の展望と課題を検討した。先行研究としてEU委員会企業班、ジェトロ調査、ドイツ商工会議所、ミュンヘン経済研究所による研究調査を参考にし、それらを比較検証しながら、独自の実態調査を展開した。調査対象はドイツを中心に進出している日系企業で、104社(依頼486社)から回答を得た。(有効回答率21.4%)まず下記のアンケート調査項目について検証し、ユーロ導入後の企業の進化を探求した。調査項目はユーロ移行、メリットとデメリット、総合評価、競争上の地位、営業成績推移、組織変更、統括会社、価格設定、統一価格、為替変動と企業業績である。次にユーロ移行の問題と今後の課題についての記述式回答から、ユーロ導入過程における企業の実情を把握し、企業進化のあるべき姿を探求した。日系企業は自社の改革とプロアクティブ(先取的)な戦略により、競争上の地位を強化し新たな発展を遂げている。扱い製品の選択、ネットワーク・ロジスティックの整備、情報の一体化、統括会社等組織の再編成並びに現地化を着実に実行している。EUの深化と拡大による不確実性の高い環境に適合することは在欧日系企業にとって大きな試練である。

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