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- 橋本 行洋
- 花園大学
書誌事項
- タイトル別名
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- On Shokkan (食感) : A Historical Study of a Neologism
- ショクカン ノ ゴシ シンゴ ノ テイチャク ト ソノ ヨウイン
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抄録
本稿は、新語の成立および定着・普及の経緯を「食感」という語を通して観察するとともに、その要因について考察したものである。「食感」は近年広く用いられるようになった新語であるが、この語は教科書や公的文書にも使われ、筆者のいうところの《気づかない新語》の一つに数えることができる。この語はもと食品学・調理学研究者の間で、「味・香・触」を総合した〈広義の「食感」〉の意味で用いられたが、食品のテクスチャー研究が本格化した1960年代ころから、現在のような口内の触覚を示す〈狭義の「食感」〉の用法が多く見られるようになった。この〈狭義の「食感」〉発生の背景には、先行する同音の類義語「触感」の存在が関与しているものと考えられる。「食感」が《気づかない新語》となり急速に一般語化した要因としては、この語が漢字表記を本来の形とする漢字語であること、また「味」や「色」に対応する触覚を総合することばの欠を補うものであったことや、「食味」「食育」などの「食-」語彙の一つに位置づけられるといった、《語彙体系のささえ》の存在があげられるだろう。
収録刊行物
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- 日本語の研究
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日本語の研究 2 (4), 92-107, 2006
日本語学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205787959296
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- NII論文ID
- 110006273543
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- NII書誌ID
- AA11998386
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- ISSN
- 21895732
- 13495119
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- NDL書誌ID
- 8530618
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- NDL
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可