頭蓋咽頭腫に対する経頭蓋手術(<特集>頭蓋咽頭腫,頭蓋底髄膜腫)

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  • Transcranial Surgery for Craniopharyngiomas(<SPECIAL ISSUES>Craniopharyngioma/Skull Base Meningioma)

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抄録

【緒言】頭蓋咽頭腫の生命予後は向上し,長期的な機能予後の改善を目指す治療指針が議論されているが,われわれは鞍上部伸展のみられる頭蓋咽頭腫に対して全摘出を念頭に置いた開頭手術と,不可能な場合でも局所照射を意識した腫瘍摘出を行っている。本論文では,頭蓋咽頭腫に対する機能予後を考慮した開頭術の要点と,長期予後に影響する合併症と回避法について,われわれの経験を中心に解説する.【方法】1995年から現在まで52例に対して経頭蓋手術を行った.年齢は,1〜67歳,小児28例,成人24例である。すでに治療が施された後の再発17例が含まれ,43例で全摘出を目指し9例では企図しなかった。手術前に間脳下垂体機能不全の認められなかった小児例では,機能温存の目的で下垂体柄に固着した腫瘍の小片を残し経過観察した。成人再発6例でも神経機能を温存する目的で動脈に固着した部分は残して摘出を終えた.手術はinterhemispheric approachを基本としたが,視交差前方からの摘出を試み,適わない場合にのみ終板も開いた.複数回の手術は15例に対して行われ,ガンマナイフによる照射は10例に行われた.【結果】臨床経過の長い例,放射線照射後再発例などで全摘出が困難な場合が多かった.2例が腫瘍死,1例が不慮の事故死を遂げたほかは腫瘍はコントロールされている.手術合併症は穿通枝の損傷によるものが3例,深部静脈の損傷によるものが1例で,視床下部障害による過食,肥満や,記憶障害,意識障害が認められた.内分泌障害では,術後に機能低下がみられないように思われても長期的にはGHの補充が必要となる例が多かった.【結論】頭蓋咽頭腫の長期予後に大きく関与する要因は,術後急性期の電解質異常に伴う合併症,慢性期の過食,肥満であり,重篤な視床下部障害をきたさないような範囲での摘出と術後急性期管理が肝要と考えられた.

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