肺化膿症を併発した肺犬糸状虫症の1例

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タイトル別名
  • A case of pulmonary dirofilariasis with complicated pulmonary suppuration

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抄録

肺犬糸状虫症は犬糸状虫の虫体が肺梗塞病変を形成する疾患であるが,合併症の報告例はほとんどない.我々は肺化膿症を併発した肺犬糸状虫症の1例を経験したので報告する.症例は57歳男性.胸部異常影を指摘され来院.胸部CTにて右下葉S8胸膜直下に20mm大の結節影を認めた.肺癌の可能性が否定できない画像所見であり気管支鏡下生検を行ったが確定診断にいたらず,診断治療を兼ねた手術を行う方針とした.しかし気管支鏡検査後4日目38度台の発熱,炎症反応の上昇,画像上肺病巣の急激な増大を認め,既存の病巣に肺化膿症が併発した.抗生剤治療を行い解熱傾向となった後,手術を施行した.術中迅速組織診で悪性所見を認めず下葉楔状切除を行った.病理組織学的に,周囲に化膿巣を伴う肺梗塞巣を認めた.近傍の肺動脈内に犬糸状虫の虫体を確認し,肺化膿症を併発した肺犬糸状虫と診断した.肺化膿症の再燃なく術後10日目に退院した.

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参考文献 (14)*注記

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