ネコの下部尿路を支配する遠心性および一次求心性神経経路の同定

  • 菅谷公男
    旭川医科大学第二生理学教室 (現)秋田大学医学部泌尿器科学教室
  • 森 茂美
    旭川医科大学第二生理学教室
  • 土田 正義
    秋田大学医学部泌尿器科学教室

書誌事項

タイトル別名
  • EFFERENT AND PRIMARY AFFERENT NEURAL PATHWAYS INNERVATING THE LOWER URINARY TRACT OF THE CAT : Part I Efferent Neural Pathways

この論文をさがす

抄録

ネコの下部尿路に対する遠心性神経支配様式の全体像の解明を試みた.そのために,膀胱左壁,膀胱三角部,近位部尿道左壁,外尿道括約筋左壁,骨盤神経とその膀胱枝,陰部神経とその尿道枝,下腹神経,下腸間膜動脈神経節およびその神経節に入る中央線維群と側方線維群,性腺動脈神経節,L4とS1の交感神経幹神経節の計15カ所にhorseradish peroxidase (HRP)を投与した.下部尿路を支配する脊髄内神経核は,胸髄尾側から腰髄中央部の中間外側核と内側核,仙髄の中間外側核と内側核,それに仙髄Onuf核であった.胸腰髄の中間質からの交感神経経路は,下腹,骨盤,陰部のそれぞれの神経に分かれて外尿道括約筋を含む膀胱,尿道の全域に投射していた.下腹神経を通る経路はL1〜6の交感神経幹神経節,性腺動脈神経節,下腸間膜動脈神経節と骨盤神経節のいずれかで節後線維となり,左右の交感神経幹の間と下腸間膜動脈神経節で部分交叉していた.骨盤神経と陰部神経を通る交感神経経路はL5〜S3の交感神経幹神経節で節後線維となり,左右の交感神経幹の間で部分交叉していた.仙髄中間質からの副交感神経経路は,骨盤神経を通って骨盤神経節で節後線維となり,膀胱,尿道に投射していた.Onuf核からの体性神経経路は,そのほとんどが陰部神経を通って,一部は骨盤神経を通って外尿道括約筋に投射していた.

収録刊行物

  • 日泌尿会誌

    日泌尿会誌 79 868-879, 1988

    社団法人日本泌尿器科学会

被引用文献 (2)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ