書誌事項
- タイトル別名
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- SURGICAL REMOVAL OF BRAIN METASTASIS OF RENAL CELL CARCINOMA
- REPORT OF TWO CASES AND REVIEW OF THE JAPANESE LITERATURE
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抄録
腎癌の単発性大脳転移を切除し得た2症例を報告した. 症例1は腎摘除術 (pT3N0M0V1) 後間もなく痙攣発作から左後頭葉転移を発見され, 切除された. 1カ月の社会生活が可能だったが, 脳転移再発のため, 開頭術5カ月後に癌死した. 症例2は腎摘除術 (pT2N0M0V0) 2年後にゲルストマン症候群が出現し, 左後頭葉転移が発見され, 切除された. 肺と胸椎転移が出現したが脊椎後方固定術が行なわれ, 3年半の社会生活が可能で開頭術の4年後に癌死した.<br>本邦文献上, 自験2例を含む腎癌脳転移65例 (大脳24, 小脳5, 両者6, 不明30) を集計し検討した. 平均年齢は55.8歳で, 男に多く, 原発巣に左右差はない. 臨床症状は頭痛, 半身不随, 歩行障害が多かった. 腎摘後に脳転移が発症したものは詳細の明らかな35例中21例でその平均間隔は34カ月であった. 脳転移切除群は33例で脳転移発症後の平均生存期間は18.1カ月 (n=24) と良好だが, 非切除群は32例で6.7カ月 (n=12) と不良であった. 脳転移切除群中, 部位の明らかなものは大脳11, 小脳5, 両者3であった. 大脳転移を有する14例中脳が単独転移臓器だった11例では1年生存率は73% (8/11) と良好だが, 多臓器転移の3例では1年生存はなく予後不良であった. 一方小脳転移を有する8例中脳が単独転移臓器だったものは1例で1年生存はこれのみであった. 以上から, 腎癌の脳転移は脳が単独転移臓器である場合には積極的に切除することが生存期間の延長に役立つと考えられた.
収録刊行物
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- The Japanese Journal of Urology
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The Japanese Journal of Urology 79 (5), 925-932, 1988
社団法人 日本泌尿器科学会
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キーワード
詳細情報
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- CRID
- 1390282680456745728
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- NII論文ID
- 130006935777
- 110006384028
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- NII書誌ID
- AN00196577
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- ISSN
- 18847110
- 00215287
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可