正常副腎および副腎腫瘍組織の flow cytometric DNA-histogram による分析

書誌事項

タイトル別名
  • FLOW CYTOMETRIC DNA ANALYSIS OF NORMAL ADRENAL TISSUES AND ADRENAL TUMORS

この論文をさがす

抄録

正常副腎10例, 腫瘍性副腎20例の flow cytometric DNA histogram の分析検討を行ない臨床診断, 病理診断と比較検討した.<br>正常副腎, 過形成副腎は, normal diploid pattern を示したが, 皮質腺腫のなかに, tetraploid pattern を示すものがあり, 特に原発性アルドステロン症腺腫では, 7例中6例 (86%) と高頻度に認められた. Cushing 腺腫 (2例) では, いずれも normal diploid pattern を示した. Proliferation Index (PI) (全細胞数に対するS期及びG2+M期の細胞数の比率) は, 正常副腎で, 9.45±6.97%を示し, 過形成副腎は, ほぼ同様の値を示したが, 皮質腺腫では高値で, 特に原発性アルドステロン症腺腫では20.87±8.764%であった. 従って細胞生物学的にみると原発性アルドステロン症腺腫は, Cushing 腺腫よりも細胞増殖能の高い腫瘍であると示唆された. 良性褐色細胞腫では, 5例中3例 (60%) に aneuploid pattern を認め, 1例 (20%) は tetraploid pattern で, 1例 (20%) は normal diploid pattern であった. このことは, 褐色細胞腫は, 細胞生物学的観点から見ると, 個々の症例間で細胞増殖能の差が著しい腫瘍であることを示唆するものと考えられた. 副腎皮質腺癌, 悪性褐色細胞腫は, いずれも aneuploid pattern を示した.<br>以上の結果より副腎腫瘍の Flow cytometric DNA histogram 分析は, この臓器に特徴的とも言える多彩な機能性, 非機能性腫瘍の細胞増殖能の比較に際し, 客観的, 定量的, かつ迅速な細胞生物学的解析を可能にする有用な方法であると考えられた.

収録刊行物

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ