腎動脈瘤を有する単腎に発生した腎細胞癌の1例

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タイトル別名
  • CONSERVATIVE SURGERY FOR RENAL CELL CARCINOMA ASSOCIATED WITH RENAL (ARTERY) ANEURYSM IN SOLITARY KIDENE
  • A Case Report
  • 腎保存手術の経験

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抄録

単腎に合併した腎動脈瘤と腎細胞癌に対し腎保存手術を施行した1症例を報告した. 症例は63歳女性, 無症候性血尿を主訴とし, 23年前に左腎摘除術 (原疾患不明) を受けていた. IVP, 腹部CTにて右腎中央に径6×6cmの中腎杯を圧排する腫瘤が認められた. 右腎動脈造影では, 腫瘤は hypervascularity を示し, また右腎動脈第一分岐部に16×18mmの嚢状動脈瘤が認められた. 遠隔転移はなく, 体内手術にて動脈瘤切除術と右腎中・下部3/4の部分切除術を同時に施行した. 病理学的所見は, pT2b, 淡明細胞亜型, grade 1の腎細胞癌で, 動脈瘤壁には石灰化はなく弾性繊維の減少が認られた. 術後21日間の無尿期を認めたものの, その後利尿期が出現し, 術後3ヵ月目の腎機能は, BUN26mg/dl, 血清Cr2.6mg/dl, Ccr.20.1ml/minで透析を必要としなかった. 術後18ヵ月経過した現在, 再発・転移も認めず, また腎機能の増悪もなく社会生活に復帰している. 本症例のような稀な合併に対しても腎保存手術は有用な治療法の一つと考えられた.

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