キャピラリー電気泳動反応器を用いる亜鉛(II)‐1,5‐ビス(2‐ヒドロキシ‐5‐スルホフェニル)‐3‐シアノホルマザン錯体のオンキャピラリー解離反応特性の評価

  • 小笠原 一孝
    東北大学大学院環境科学研究科自然共生システム学講座
  • 高橋 透
    東北大学大学院環境科学研究科自然共生システム学講座
  • 壹岐 伸彦
    東北大学大学院環境科学研究科自然共生システム学講座
  • 星野 仁
    東北大学大学院環境科学研究科自然共生システム学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Estimation of On-Capillary Dissociation Characteristics of Zn(II) Complex with 1,5-bis(2-hydroxy-5-sulfophenyl)-3-cyanoformazan by a Capillary Electrophoretic Reactor
  • キャピラリー電気泳動反応器を用いる亜鉛(2)-1,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-スルホフェニル)-3-シアノホルマザン錯体のオンキャピラリー解離反応特性の評価
  • キャピラリー デンキ エイドウ ハンノウキ オ モチイル アエン 2 1 5 ビス 2 ヒドロキシ 5 スルホフェニル 3 シアノホルマザン サクタイ ノ オンキャピラリー カイリ ハンノウ トクセイ ノ ヒョウカ

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抄録

キャピラリー電気泳動反応器(CER)を用いてZn2+-1,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-スルホフェニル)-3-シアノホルマザン錯体([Zn-HSCF])のオンキャピラリー解離反応特性について検討を行った.配位子置換モードCERにより,[Zn-HSCF] のCE分離•検出の最適条件であるpH 8.80におけるその自己解離反応速度定数(kd)を測定したところ,kd = 4.3 × 10−5 s−1(半減期4.5時間)を得た.したがって,[Zn-HSCF] は速度論的に極めて安定であることが分かった.一方,[Zn-HSCF] は,pH 5.10のCE分離において検出されないが,このときのkdを置換配位子としてエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を用いたバッチ系における配位子置換法で測定したところ,kd = 3.7 × 10s−3 s−1を得た.このときの半減期は3分であり,CE分離の時間スケール内において錯体のほとんどが解離することが分かった.また,キャピラリー内における遊離の配位子の濃度プロファイルの推算から,CE分離過程における [Zn-HSCF] の平衡論的安定性の評価を行ったところ,pH 5.10及び8.80いずれの条件においても [Zn-HSCF] は平衡論的に存在し得ない環境下におかれていることが分かった.以上,プレキャピラリー誘導体化CEにおいて,誘導体化の段階では金属錯体の平衡論的安定性は必要であるが,特に配位子を添加しない泳動緩衝溶液を用いた場合,その金属錯体のCE検出選択性を決定するものは,錯体の速度論的特性(解離反応不活性性)であることが明らかになった.<br>

収録刊行物

  • 分析化学

    分析化学 56 (10), 825-831, 2007

    公益社団法人 日本分析化学会

参考文献 (35)*注記

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