地方語文献資料としての庶民記録 : 飢饉資料・農事日記・年代記について

書誌事項

タイトル別名
  • A Look at the Records of the Common People of the Latter Edo Period as Historical Dialectal Data : Using Sample Data from Famine Records, Farming Diaries, and Yearly Records
  • チホウゴ ブンケン シリョウ ト シテノ ショミン キロク キキン シリョウ ノウジ ニッキ ネンダイキ ニ ツイテ

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抄録

本稿では,宮城県を例に,主として近世後期の庶民層が作成した庶民記録である飢饉資料,農事日記,年代記の計44種を対象に,資料の性格や方言的特徴などの資料論的考察を行なった。その結果,以下のことを明らかにした。(1)まず,資料の性格であるが,庶民記録として取り上げた3つの資料は,作成者の階層,作成時期,内容面といった資料的特徴から強い共通性を有しており,近世後期庶民層が記した同一の資料体として扱うことができる。(2)つぎに,音声の方言的特徴として,表記上の特徴,および現代方言との比較から,「イとエは語中・尾では統合しているが,語頭では統合していない」,「連母音のアイ・アエは融合している」などといった近世後期における宮城県方言の発音を推定した。すなわち,本稿で扱った庶民記録には,当時の方言的特徴が反映されており,近世後期の方言を知るための地方語文献として有効であることを指摘した。

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