行政との協働がNPOへ及ぼす影響 : 事業委託を例として

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タイトル別名
  • The Impact of Public-Private Partnership on NPOs in Japan : Case Studies of Contracting-Out Services
  • ギョウセイ トノ キョウドウ ガ NPO エ オヨボス エイキョウ : ジギョウ イタク オ レイ トシテ

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抄録

本稿は、行政とNPOの協働関係の中でも、近年その関係性が注目されている事業委託関係に焦点をあて、事業委託がNPOへ及ぼす影響を実証的に検討したものである。まず、欧米を中心とした先行研究のサーベイを行い、事業委託がNPOへ影響を及ぼすと想定される視角を導出し、分析枠組みを設定した。そして分析枠組みに基づき、NPOへの調査票調査を実施し、得られたデータを用いて定量的分析を行った。事業委託がNPOへ及ぼす影響に関する項目を主成分分析によって分析した結果、「委託事業への集中化」「組織発展」という大きく2つの影響パターンが抽出された。さらに、重回帰分析によってこれらの影響を規定する要因を分析した結果、「委託事業への集中化」は、(1)新規委託事業の収入比率が高い、(2)新規委託事業の件数が多い、(3)委託事業内容として施設管理運営が多い、(4)活動年数が短いという要因に、そして「組織発展」は、(1)前年度から継続する委託事業の収入比率が高い、(2)前年度から継続する委託事業の件数が多い、(3)保健・医療・福祉分野が多い、(4)委託事業内容としてイベント・セミナー開催、専門的サービスの提供が多い、という要因に規定されることがわかった。この結果を踏まえ、政策的含意として、事業委託に代表される行政-NPO間の事業契約関係を円滑に進めるための適正事業規模や事業期間を模索する必要性、および両者の協働関係に介在する利益と不利益、そして成果をより具体的にかつ持続的に計測していく必要性を指摘した。

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