暖地型イネ科牧草の物理・化学処理による栄養価値改善 : 1.蒸煮処理が化学成分及び乾物消化率に及ぼす影響

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  • Improvement of Nutritive Value of Tropical Grasses by Physical or Chemical Treatment : 1. Effect of steam treatment on chemical composition and dry matter digestibility
  • ダンチガタ イネカ ボクソウ ノ ブツリ カガク ショリ ニ ヨル エイヨウ

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抄録

成熟暖地型イネ科牧草ギニアグラス,グリーンパニック及びローズグラスを用い,蒸煮処理がin vitro乾物消化率に及ぼす影響について,リグニン及びケイ酸との関連で追究した。蒸煮処理は170℃・30分及び180℃・10分で行い,in vitro乾物消化率は山羊第一胃液とペプシンによる培養で測定した。得られた結果は次のとおりである。アセチルブロマイドリグニン(ABL)含量は,いずれの処理でも全般的に低下したが,両処理間での差は認められなかった。ケイ酸含量は処理の結果若干低下する傾向を示した。In vitro乾物消化率は,いずれの処理でも全般的に増加したが,両処理間での差は認められなかった。ABL消化率は,全般的には,170℃・30分処理では低下する傾向を示したが,180℃・10分処理の場合大きな変動を示さなかった。乾物消化率の増加とリグニン及びケイ酸の変動との関係について回帰分析により検討した結果,170℃・30分及び180℃・10分いずれの処理の場合も,乾物消化率増加とABL含量低下との間に高い関連が認められた。乾物回収率は,いずれの処理でも低下し,180℃・10分処理より170℃・30分処理で低い値を示した。処理試料の可消化乾物回収率については,対照試料のそれと比べ,170℃・30分処理の場合8試料中2試料が,180℃・10分処理では8試料中4試料が変動を示さず,その他の試料では低い値となることが認められた。以上の結果から,乾物消化率はいずれの処理でもほぼ同様に増加したが,乾物回収率が170℃・30分処理より180℃・10分処理で高い傾向を示したことから,暖地型イネ科牧草の栄養価値改善に用いる蒸煮処理としては,170℃・30分処理より180℃・10分処理が望ましいと考えられた。

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