六甲山地古生層地帯におけるクズ(Pueraria lobata OHWI)自然群落の土壌特性

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タイトル別名
  • Soil Properties of Natural Kudzu (Pueraria lobata OHWI) Stands Established in the Paleozoic Strata Area of the Mt. Rokko District
  • ロッコウ サンチ コセイソウ チタイ ニ オケル クズ Pueraria lo

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抄録

照葉樹林帯二次林の山火事跡地に再生した初期植生の"植物群落-土壌系"に関する研究の一環として,六甲山地古生層地帯の南縁に位置する神戸市東灘区本山町の山地に発達するクズ群落,および比較対照として近接のニセアカシア林とヤマモモ林の土壌の理化学性を調べた。クズ群落は,六甲山地南縁では一般的には土壌の緻密化の程度が強い場所あるいは他植物が侵入しにくい尾根,谷底および急傾斜地に発達している。調査したクズ群落は,調査地域に広く分布しているニセアカシア林と同様,"植物群落-土壌系"の破壊の繰返しによりもたらされた褐色森林土型受蝕土に成立しており,群落の全地上部乾物重は526.8gm^<-2>であった。クズ群落のA層の土壌は,全窒素量(0.28-0.29%)がニセアカシア林と同じであるが,ヤマモモ林より多く,交換性陽イオン量(3.6-11.6cmolkg^<-1>)がニセアカシア林より多く,ヤマモモ林より少なく,pH (H_2O)(4.40-5.25)がニセアカシア林およびヤマモモ林より高かった。吸収根分布域土壌である深さ0〜30cm部位土壌の理化学性は,クズ群落よりもニセアカシア林およびヤマモモ林の方が,容積重が小さく,孔隙量が多いことから示される土壌の構造の発達,ならびに全炭素量と全窒素量で示される有機物量の多さと陽イオン交換容量で示される養分保持力の大きさからみた土壌の理化学性の良好さなどから判断して優れていると思われるが,水分量(30-40%)は同程度であった。急傾斜地の土壌の緻密化の程度が強い場所に成立した群落は,上述の土壌の理化学性の不良性が維持される間は,純群落に近い状態の"植物群落-土壌系"を比較的長期にわたって維持するものと推察された。

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参考文献 (32)*注記

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