シナプスにおけるアセチルコリン蓄積によるラット咬筋運動ニューロンのHRP逆行性軸索輸送量の増加

書誌事項

タイトル別名
  • Accumulation of Acetylcholine at Synapse Increases the Amount of Retrograde Transport of HRP in the Masseter Motoneuron of Rat

この論文をさがす

抄録

逆行性軸索輸送は神経終末周辺の環境情報を細胞体に伝えていると示唆されていることから,シナプスに神経伝達物質が蓄積したとき逆行性輸送に変化が現れることが予想される.本研究ではこの可能性を検討するために,ラットにアセチルコリンコリンエステラーゼ阻害剤を投与し,咬筋運動ニューロンのHRP逆行性軸索輸送量に変化が現れるか否かを観察した.使用した阻害剤はdiisopropyl fluorophosphates(血液脳関門透過性非可逆的阻害剤),eserine(血液脳関門透過性可逆的阻害剤),neostigmine(血液脳関門非透過性可逆的阻害剤)の3種である.8週齢のラットに阻害剤のいずれかを投与し実験群とした.対照群には阻害剤の溶媒を投与した.その際中枢神経系や自律神経系を介した影響を除くため,アトロピンを投与した.次いで両側の咬筋の一定部位に,HRPを注入し,8時間生存させた.心灌流固定後,厚さ60μmの脳幹の凍結連続切片を作製し,HRP反応に供した.画像解析装置を用いて咬筋運動ニューロン細胞体内のHRP反応産物量を測定し,HRP逆行性輸送量とした.輸送量はいずれの阻害剤の場合も,阻害剤投与ラット群の方が非投与群より有意に多く,神経筋接合部のシナプスでの神経伝達物質アセチルコリンの蓄積が咬筋運動ニューロンのHRP逆行性軸索輸送を促進することが示唆された.

収録刊行物

参考文献 (18)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ