小児閉塞性睡眠時呼吸障害の病態解明とその重症度判定の検討

  • 糸井あや
    金沢医科大学感覚機能病態学(耳鼻咽喉科学)
  • 小田 真琴
    金沢医科大学感覚機能病態学(耳鼻咽喉科学)
  • 高島 雅之
    金沢医科大学感覚機能病態学(耳鼻咽喉科学)

書誌事項

タイトル別名
  • Clinical Study of Pathophysiology and Severity in Pediatric Sleep Related Breathing Disorder

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抄録

【はじめに】小児睡眠時呼吸障害の診断,治療のスタンダードな基準はいまだ確立されていない。本研究は,小児睡眠時呼吸障害の病態の特徴を解明し,診断,治療基準を検討した。【対象と方法】対象は2001年4月から2005年6月まで鼾,睡眠時無呼吸などの睡眠時呼吸障害を訴えて当院耳鼻咽喉・頭頸科外来を受診した2歳から6歳の小児104例(男児69例,女児35例),平均年齢は5.1±1.2歳であった。病歴,アデノイド増殖度,口蓋扁桃肥大度,頭部側面X線規格写真,生理学的検査,漏斗胸,睡眠時ビデオ撮影による自宅睡眠中の奇異性呼吸の観察,尿中成長ホルモン,身長,体重における発育状態,BMIを測定した。【結果】アデノイド増殖,扁桃肥大の程度から対象を9群に分類した。これらの所見が高度の群および漏斗胸を認める群で生理検査において最低酸素飽和度の有意な低下が認められた。治療として,アデノイド切除術,口蓋扁桃摘出術を75例に施行した。これにより全例でいびき無呼吸は改善し,また術後に無呼吸・低呼吸指数(apnea hypopnea index,以下AHI),無呼吸指数(apnea index,以下AI),酸素飽和度下降指数(oxygen desaturation index,以下ODI),最低酸素飽和度(以下最低SpO2)の有意な改善が認められた。さらに成長評価において「やせ」が23%と多くみられ,術後全例に身長,体重の増加を認めた。【考察】小児睡眠呼吸障害が疑われる症例はアデノイド中等度,扁桃II度以上,更に奇異性呼吸,漏斗胸を認め,最低SpO_2が90%未満の症例は手術療法を選択するべきであると考えられた。

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被引用文献 (3)*注記

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