異形成腎 : 1.臨床病理学的検討

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  • RENAL DYSPLASIA : 1. Clinicopathological Study

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抄録

過去12年間に兵庫医大泌尿器科で治療を加えた異形成腎40例40腎を対象に臨床病理学的検討を加えた.性別では男女比1対3で,5歳以下が2/3を占めていた.全例に何らかの尿路異常を伴い,その内訳は尿管瘤18,異所開口尿管15,尿管閉鎖5,VUR1,後部尿道弁1であった.所属尿管開口部が正常位置であったのは6例,尾側偏位32例,頭側偏位2例であった.腎機能検査上,腎シンチグラムでは1腎のみ,enhanced CTでは4腎に描出がみられた.反対側腎・尿管の異常は43%にみられた.対象症例は全例腎摘除術あるいは半腎摘除術を施行された.摘出腎の肉眼的所見では大小多数の嚢胞よりなる多嚢腎が5例,腎実質がsac状となったのは9例で,その他の26例では萎縮性矮小腎であった.組織学的には,診断基準としたprimitive ductのほかに,primitive tubule,異所性軟骨,大小の嚢胞,神経線維,未熟糸球体などが観察された.このような異形成構造は,すべての腎に均等に観察されたのではなく,その分布と密度は症例ごとに大きな差がみられた.

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