社会情緒的発達と言語認知的発達をつなぐもの : 自閉症の関係障害臨床
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- 小林 隆児
- 東海大学健康科学部社会福祉学科
書誌事項
- タイトル別名
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- Bridging the Divide Between Socio-Emotional and Linguistic-Cognitive Development : From the Viewpoint of Relationship Disturbances
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抄録
自閉症の原因をめぐる議論は、これまで内因、心因、器質因と変遷を遂げてきた。今日では器質因論を中心に展開しているが、いまだ社会情緒的障害(対人関係障害)と言語認知的障害のどちらが一義的か、さらには両者がどのような関連性を持つかについて定説はない。本稿では筆者の依って立つ関係障害臨床の立場から、社会情緒的発達と言語認知的発達の関連性について理論的仮説を提示した。理論的仮説の前提として、(1)自閉症の主要な病態を養育者との間でのコミュニケーションの成立過程の問題とみなすこと、(2)自閉症の原因に迫るためには、言語認知機能の獲得過程についての詳細な検討が必要であること、(3)そのためには関係障害臨床の視点に立ち、子どもと養育者の関係障害に対する治療介入を通して、当事者双方の内的世界(主観)にまで踏み込むことが重要であること、(4)それは関与しながらの観察によって初めて可能になること、などを指摘した。そのことを踏まえ、コミュニケーションの成立過程を、愛着、知覚、情動、認知などの鍵概念を用いながら、それらが関係性の変容過程とどのように絡み合って展開していくかを論じた。
収録刊行物
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- 東海大学健康科学部紀要
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東海大学健康科学部紀要 5 9-18, 1999
東海大学
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1570854177314929152
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- NII論文ID
- 110006454980
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- NII書誌ID
- AN10534472
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- ISSN
- 13474162
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- CiNii Articles