アメリカ銃社会のジレンマ : 50州パネル・データによるブレイディ法とシャル・イシュー法の政策評価

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  • Dilemma in American Gun Society : Quantitative Analyses of Brady and Shall-Issue Laws with Fifty-State Panel Data

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2007年4月16日ヴァージニア工科大学において一人の学生の銃の乱射により32名の学生・教師が生命を失った。現在2億丁を超える銃を抱え毎年400万丁以上の銃が増え続けるアメリカ社会において、銃規制また銃の保有と携行に関する各種の政策の評価が多くの研究者により行なわれている。1990年代のアメリカ社会における銃による死傷者の数は劇的に減少をしたが、このことを予測した研究論文の発表はなかったことが指摘されている。ロットとマスタードは、この原因を1986年以来、各州がシャル・イシュー法を採用し、銃の携行を願い出た一般市民にほぼ一律に許可を与える州が増大したからであると1997年の論文において結論付けた。これに対し、クックとルートウィックは、銃による死亡事件の社会費用は、関連する諸費用をすべて含めれば一件当たり100万ドルを超えるとし、銃規制の重要性を訴えると共に、ルートウィックは、90年代の銃による死傷者の減少はシャル・イシュー法とは統計的に有意な関係は認められない、と反論を試みた。銃による殺人と死傷者の件数の劇的減少が、はたして銃規制派の議会への運動により実施されるに至ったブレイディ法とその後継法か、それともシャル・イシュー法にあるのか、アメリカ銃規制問題の焦点の一つとして現在も論争が続けられている。本稿においては、1976年から2004年の28年間の全米50州にワシントン特別行政区を加えたパネル・データを構築し、ブレイディ法とシャル・イシュー法を政策変数化することで、数量分析を行ない、ブレイディ法と1999年以降のその後継法である全国即時背景システム(National Instant Check System)が統計的に有意な影響を与えていることを論証した。

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