鉛遮蔽体によるγ線の減弱特性

書誌事項

タイトル別名
  • The Characteristics of γ-ray Attenuation by a Lead Shield
  • ナマリ シャヘイタイ ニ ヨル ガンマセン ノ ゲンジャク トクセイ

この論文をさがす

抄録

低エネルギーγ線を測定する遮蔽体付きの検出システムを製作するにあたり,準備実験として鉛遮蔽体による減弱効果実験を行った。その過程で,γ線スペクトル中に存在する全エネルギーピーク領域(光電領域と称す。)とコンプトン端以下のエネルギー領域に広がるコンプトン領域の減弱効果が異なるのではないかという実験データが得られた。そこで両者の減弱効果の差に関して,これが両者の減弱特性によるものなのか,それとも他の要因によるものなのかという点について検討を行った。その結果,測定データに現れた光電領域とコンプトン領域の減弱効果の差は,ビルドアップといわれる現象によって生じたものであり,それを補正すると両者の減弱はほぼ同様であるという一般的な意見と一致するデータが得られた。ただし,その補正に用いるビルドアップ係数Bは一般に,μを減弱係数,xを遮蔽体厚として,B=1+μxという式で表されているが,これは遮蔽体が無限媒体である場合に近似的に成り立つものであるとされている。そこで本実験では,遮蔽体の形状・配置によって決まると考えられる形状ファクターをκとして,ビルドアップ係数をB=1+κμxで表すこととした。すると本実験の幾何学的配置ではκ=0.4のとき光電領域とコンプトン領域の減弱効果がほぼ等しくなるというデータが得られた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ