植物のストレス応答情報伝達におけるカルシウムイオンの役割とその動員の分子機構

  • 来須 孝光
    東京理科大学・理工学部・応用生物科学科
  • 林 晃之
    東京理科大学・理工学部・応用生物科学科
  • 朽津 和幸
    東京理科大学・理工学部・応用生物科学科:東京理科大学・ゲノム創薬研究センター・細胞シグナル制御部門

書誌事項

タイトル別名
  • Physiological roles and molecular mechanisms for stress-induced Ca^<2+> mobilization in plants
  • ショクブツ ノ ストレス オウトウ ジョウホウ デンタツ ニ オケル カルシウム イオン ノ ヤクワリ ト ソノ ドウイン ノ ブンシ キコウ

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抄録

植物ホルモン,病原体の感染,環境ストレスなどに対する植物の応答過程では,さまざまな刺激により細胞外やオルガネラ(細胞内Ca^<2+>ストア)から細胞質中へのCa^<2+>動員が誘導され,二次メッセンジャーとして細胞内シグナル伝達系において中心的な役割を果たす.この際,それぞれの刺激に特有の細胞質Ca^<2+>濃度変化の時間的・空間的パターンが情報の識別に重要と考えられているが,パターンの形成に関与するCa^<2+>動員に関与する分子やその調節機構は,長く謎に包まれていた.最近になって,細胞膜や液胞膜に存在するCa^<2+>チャネル遺伝子が同定され始め,Ca^<2+>動員制御の分子機構の研究が本格的に開始されつつある.本稿では,最近同定された植物のさまざまな種類のCa^<2+>チャネル分子について概説すると共に,アブシジン酸,感染シグナル(エリシター),機械刺激などの刺激を例に取り,ストレス応答シグナル伝達系の初期過程における細胞内のCa^<2+>の動態とその制御機構について解説する.

収録刊行物

  • 植物の生長調節

    植物の生長調節 42 (2), 121-129, 2007

    一般社団法人 植物化学調節学会

参考文献 (68)*注記

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