両側性卵巣腫瘍11例の検討

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タイトル別名
  • A Study of Eleven Cases With Bilateral Ovarian Tumor
  • リョウソクセイ ランソウ シュヨウ 11レイ ノ ケントウ

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抄録

【目的】小児卵巣腫瘍,特に両側性卵巣腫瘍は稀であるが,妊孕性保持,長期予後のための術式選択が重要となる.今回,当科にて経験した両側性卵巣腫瘍症例を検討し文献的考察を加える.【方法】1970年から2005年の問に当院で経験した90例の卵巣腫瘍手術症例のうち11例の両側性卵巣腫瘍を対象とし,診断,治療法,術後経過等について後方視的に検討した.【結果】症例は同時性発症が10例,異時性が1例であり,両側良性が6例,両側悪性が4例,片側良性片側悪性が1例であった.術前に両側腫瘍と診断されたものが3例,悪性が疑われたものが2例であった.両側悪性4例を除く6例で片側,1例で両側の卵巣を温存した.温存後追跡できた思春期以降の2例は月経を認め,1例は妊娠したが1例は無排卵性であった.腫瘍の再発はなかった.【結論】両側性良性卵巣腫瘍では全症例に卵巣を温存できたが妊孕性は不明であり,術後の定期的卵巣機能追跡が後続症例の術式選択に役立つと思われた.両側性悪性卵巣腫瘍では現在は卵巣温存できていないが,文献的考察から化学療法の有効性,妊孕保持性が認められている胚細胞腫瘍に関しては化学療法先行が今後の治療選択となる可能性が高いと考えられた.

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参考文献 (14)*注記

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